電氣的合成方法に依る母音及び子音の研究(其の一) : 母音の起聲部及び終聲部に於ける周波數及び振幅の變化が聞えに及す影響
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概要
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サィラトロン放電管を使用して得られる弛張振動電壓を電源として、數種の蔕域濾波器を用ひて母音を合成した。併し斯くして得られた母音は、所謂フォルマントの點に關しては容易に必要な條件を滿足する樣に出來るから、夫々の母音性は充分感じられるのであるが、肉聲感或は自然さが乏しいために通常聞きなれた母音としての明瞭度がない。そこで明瞭度の高い肉聲感のある母音を合成するためには他の種々なる要素が必要であるが、これらの要素を逐次見出し、これを獨立に或ひは一緒に曩の合成母音に附加して、これらの母音の聞えに及す影響を調べる事に依つて母音の性質特にその肉聲感に關係する要素を研究するのが筆者の目的であるが、茲には起聲部及び終聲部に存在する振幅の成長及び減衰、周波數の變動が聞えに及す影響をしらべた結果起聲部の約0.03秒間に於ける周期の變化が特に著しく母音の肉聲感を増加し、それに對して振幅の成長、減衰は獨立では肉聲感増加に對し殆んど効果を有しない事が判った。
- 1944-07-20