FK506によるラット腎の機能的および組織学的変化と種々の薬剤による腎毒性軽減効果について

概要

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一側腎摘ラットにおいてFK506の急性及び慢性投与による腎の変化について検討を行った.FK506(0.384mg/hr)の静脈投与による腎血行動態の変化を調べた.また,FK506:1,2.5,5mg/dayの経口投与を3週間行い,7日毎に腎機能検査,21日目にイヌリン,PAHクリアランス,血圧測定を,屠殺後に腎組織検査を行った.FK506腎毒性軽減目的にて一部のラットにはFK506:4mg/kg/day,ジルチアゼム(3mg/kg/day),又はカプトプリル(13mg/kg/day),又はプラゾシン(0.6mg/kg/day)を併用し,腎機能,腎組織所見の改善について調べた.FK506の90分間静脈内投与では腎機能の変化は全くみられなかった.21日間の経口投与では用量依存性に腎機能の低下を認めた.腎血行動態検査では糸球体濾過率,腎血漿流量の低下,腎血管抵抗の増加を認めた.尿蛋白,NAG排泄量は腎機能の低下と共に低下した.腎組織検査では動脈中膜の変性壊死が特徴的で,その他,尿細管変性,軽度の間質線維化を認めた.薬剤併用による腎毒性軽減の検討ではジルチアゼム併用群で腎機能,組織共に有意の改善が見られた.これらの結果より,FK506腎毒性は腎動脈の収縮による腎血流低下が主な原因と思われ,これには細胞内カルシウム代謝異常の関与が示唆された.
1992-05-20