ウサギ膀胱尿道平滑筋の収縮に対するプロスタグランディンの役割に関する研究
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概要
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Prostaglandin(PG)E_1,E_2,F_<2α>に対するウサギ麗胱尿道平滑筋の反応とその作用機序を検討した。膀胱体部および底部の平滑筋切片は,PGE_1,E_2,F_<2α>のいずれの投与によっても収縮し,その反応は底部より体部の方が強かった。PGによって惹起される収縮反応の強さは,体部,底部ともF_<2α>>E_2>E_1の順であった。尿道平滑筋切片は,PGE_1,E_2によって弛緩し,F_<2α>によって収縮した。PGの作用機序を検討するため,atropine,phentolamine,propranolol,tetrodotoxinを前投与してからPGを投与したところ,PGE_1,E_2,F_<2α>によって惹起される膀胱尿道平滑筋切片の収縮弛緩反応は,これらの薬剤で全く影響をうけなかった。またverapamilの前投与により,PGE_1,E_2,F_<2α>による膀胱体部および底部平滑筋切片の収縮反応は,ぽぽ消失した。PGE_1,E_2,F_<2α>投与前後で膀胱尿道平滑筋組織内のcychc AMP(cAMP)含有量を測定したところ,尿道にPGE_1を投与した場合のみcAMP含有量の有意な増加が認められた。これらの事実から,PGによる膀胱体部および底部平滑筋の収縮反応は主にCa^<2+>influxに依存すること,PGE_1による尿道平滑筋の弛緩反応にはcAMPが関与していることが示唆された。
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1991-08-20