小児急性リンパ性白血病に対する化学療法の睾丸機能に対する影響
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概要
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男児に対する化学療法後の性腺の発育を検討するため,急性リソパ性白血病(ALL)患者の化学療法終了後6ヵ月以内の16例の睾丸組織像とその後の経過を検討した.平均精細管直径とJohnson's Score Coutの低下は半数以上の例にみられたが,Tubular Fertility Indexの低下例はなかった.睾丸生検施行12名,未施行5名の計17名の治癒患者について,治療終了後1ヵ月から5年において,睾丸容積,外陰部の発育状態,骨年齢,LH,FSH,テストステロンの基礎値,LH-RHテスト,HCGテストの検索をした.睾丸容積,外陰部の発育状態,骨年齢は,ほぼ年齢相応であった.治療終了後2年未満の例で内分泌検査に異常がみられたが,2年以上の経過例では睾丸照射例を除きこれらは正常であった.精液検査施行例は1例あったが,精子濃度,運動率とも正常であった.以上より,小児ALLの場合化学療法は,睾丸に傷害をあたえるが,治療終了後2年経過すると,内分泌機能とともに造精機能も徐々に回復することが推測された.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1990-08-20