勃起時のイヌ陰茎血流動態
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概要
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体重9∼15kgの雑種成犬39頭を用い, 骨盤神経刺激による勃起時の陰茎背動・静脈血流量, 陰茎海綿体内圧 (n=14), 内陰部動脈血流量, 尿道海綿体内圧 (n=12) の変化を観察した. さらに, 両側の陰茎背動脈を結紮し, 結紮前後の陰茎背動脈血流量, 陰茎海綿体内圧の変化を比較した (n=7) . 加えて, 陰茎背静脈の血中酸素分圧を測定した (n=6) . 神経刺激により, まず内陰部動脈血流量, 続いて尿道海綿体内圧が上昇した. いずれもpeakをとった後直ちに減少し, 勃起完成時にはpeakの1/2∼1/3の値で一定となった. 陰茎背動脈血流量は, 内陰部動脈血流量の増加と一致して増加し, 刺激終了まで一定の値であった. 次に陰茎背静脈血流量, 陰茎海綿体内圧の上昇が認められた. 陰茎海綿体内圧は刺激により一過性に低下し, その後急速に上昇した. 陰茎背静脈血流量は, 陰茎海綿体内圧が一過性の低下を示している間に急激に増加した. 内陰部動脈, 陰茎背静脈血流量, 尿道海綿体内圧は骨盤神経刺激終了とほぼ同時に刺激前値に戻るのに対し, 陰茎海綿体内圧は刺激終了後も高圧が維持されていた. 両側陰茎背動脈結紮により, 非勃起時の陰茎背静脈血流量に有意た低下が観察されたが, 陰茎海綿体内圧には変化は認められなかった. 陰茎背静脈血中酸素分圧は勃起時において有意に上昇していた. 以上より勃起時には, 陰茎海綿体は高圧低流量, 尿道海綿体は低圧高流量と, 全く異なる循環動態を呈していることが明かとなった.
- 1990-04-20
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