腎細胞癌におけるPlasminogen Activator : Urokinase型を中心に
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概要
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以前より線溶系との関連が示唆されている腎細胞癌愚老の尿,血漿,組織中のPlasminogen Activator (PA) を高感度Enzyme Immunoassay法により,ウロキナーゼ型(u-PA),組織型(t-PA)に分けて抗原量を測定した.尿中u-PA抗原量に日内変動,年齢差は見られず健康成人で56.8±22.4×10^2U/g・Crであったのに対し,胃癌愚老では164.2±93.5×10^2U/g・Crと1%以下の危険率で有意の上昇を示した.胃癌のgrade,stage別では尿中u-PA抗原量に差はなかった.組織内u-PA抗原量は,腫瘍部では8.90±6.00×10^<-1>U/g・wettissueと腎皮質,腎髄質に比べ高値を示したが,各検体によるばらつきが大きく有意差はなかった.血漿中t-PA抗原量は,対照群で5.74土2.19U/ml,胃癌群で7.87±5.60U/mlと胃癌群で上昇傾向を示したが有意差はなかった.また,尿中t-PA抗原量,腎組織内t-PA抗原量も健康成人と胃癌愚老で差を認めなかった.組織におけるu-PAの局在を酵素抗体間接法で検討したところ,胃癌細胞は染色されたが,壊死部,間質などは染色されず,u-PAが胃癌細胞に存在すると考えられた.これらのことから,PAのなかで尿中u-PA抗原量が胃癌のtumor markerとして,使用できる可能性が示唆された.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1989-11-20
著者
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