水腎症を契機に多量に自然排石した腎杯憩室小結石の1例
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概要
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水腎症が腎杯憩室結石の自然排石をもたらしたと推測される興味深い症例を経験したので報告する.症例は50歳の女性,右下腹部痛を訴え,右尿管結石,右水腎症,および右腎杯憩室結石(小さな多数の結石)と診断された.翌日には,腎杯憩室結石が尿管へと移動し,最終的にほとんどの結石が1カ月以内に自然排石した.腎杯憩室腎杯間の狭い交通路が水腎症により拡張され,小結石が通過可能となったと推測された.近年,砕石片のドレナージ効率が悪く結石消失率が低いとの理由により,腎杯憩室結石に対するESWLの有効性は疑問視されている.しかしながら今回の症例経験から,ESWLに尿管閉塞バルーンカテーテルを併用し水腎症を人工的に作成することにより,砕石片がより良くドレナージされ,結石消失率の改善につながる可能性が示唆された.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 2001-03-20