カンジダ腎感染症における血清D-アラビニトール測定の意義
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
(目的)血清D-アラビニトール測定により,カンジダ腎感染症と無症候性カンジダ尿症との鑑別が可能か,またカンジダ腎感染症の早期診断および治療のモニタリングとして有用かを検討した.カンジテック[○R!]と血清β-D-グルカンとの比較も同時に行った、(対象と方法)1.実験的検討:カンジダ腎感染ラットと正常ラットの血清D-アラビニトールを測定し,両群の比較からカットオフ値を設定した.次にラットにカンジダ接種後,血清D-アラビニトール,カンジテックを経時的に測定した.さらにカンジダ腎感染ラットに経目的に抗真菌薬であるフルコナゾールを0.5mg投与し,両者の推移を追った.2.臨床的検討:尿培養でカンジダ属が検出された臨床症例において,血清D-アラビニトール,カンジテックに血清β-D-グルカンも加え同時に測定し,カンジダ腎感染症の診断が可能かを比較検討した.(結果)診断感度を重視し,なおかつ特異度も高くなる2.0μg/mlを血清D-アラビニトールのカットオフ値とした.ラットにおいてカンジダ腎感染成立にともない血清D-アラビニトール値は上昇し,治療開始により低下傾向を示した.カンジテックはすべて陰性であった.また臨床例においてもカンジダ腎感染症では血清D-アラビニトールとβ-D-グルカンはほとんどの症例で高値を示し,治療により低下した.カンジテックの陽性率は低かった.(結論)血清D-アラビニトールはカンジダ腎感染症の早期診断として,また治療のモニタリングとしての有用性が示唆された.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1999-08-20
著者
関連論文
- 泌尿器科における同種血無輸血手術の現状
- 泌尿器科疾患に対する自己血輸血の検討 : 第86回日本泌尿器科学会総会
- 経尿道的前立腺切除術(TUR-P)における自己血輸血の検討
- 精巣捻転症の発症と気温との相関についての検討
- 精巣捻転症の発症と気温との相関についての検討 : 第5回神奈川地方会
- ダブルマレコット型尿道留置様ステントの使用経験 : 追加 : 第5回神奈川地方会
- 前立腺癌マーカーとしてのBFPの意義について : 第4回神奈川地方会
- デジタル画像処理による膀胱腫瘍の病期診断
- 後腹膜腔に発生した神経鞘腫の1例 : 第56回東部総会
- TUR-Pにおける少量自己血貯血の有用性の検討
- 副腎腫瘍(potential malignancy)の1例
- 精巣サルコイドーシスの1例
- Interleukin-II(IL-II)にてCRを得た腎細胞癌肺転移の1例
- カンジダ腎感染症における血清D-アラビニトール測定の意義
- 泌尿器科領域感染症に対するritipenem acoxilの臨床的検討
- 東海大学病院泌尿器科における尿分離細菌について : 1988-1989年の分離細菌とディスク感受性
- 膀胱横紋筋肉腫の1例 : 第6回神奈川地方会
- 陰嚢内海綿状血管腫の1例 : 第4回神奈川地方会