マウスにおける片側精巣損傷により誘導される"交感性精巣炎"と自己免疫応答
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概要
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(背景と目的) 以前より実験的自己免疫性精巣炎 (Experimental Autoimmune Orchitis ; EAO) が男性免疫性不妊症のモデルとして研究されているが, 泌尿器科医の関心は低かった.また, 対側のEAOとも言える, いわゆる"交感性精巣炎"についても臨床的に片側の精巣を損傷した時に保存すべきか摘除すべきかが問題になる割には, 報告や研究が少ない.今回, 我々は臨床的に起こりえる片側精巣損傷 (外傷) により, 対側にEAO, すなわち"交感性精巣炎"を誘導するモデルの確立に成功したので報告する. (対象と方法) 麻酔下にC3H/HeNマウスの片側の精巣に注射針で穿刺し, 針器で挫滅し, 経時的に反対側の精巣の組織像を調べ, 自己の精巣に対する免疫応答を調べた. (結果) 28日目以降に対側の精巣に間質への細胞浸潤や造精機能障害を伴うEAOが誘導できた.同時に, 細胞性免疫である遅延型過敏反応 (Delayed Type Hypersensitivity ; DTH) が自己の精巣細胞 (Testicullar Cells ; TC) に対して誘導され, また液性免疫である抗TC自己抗体も誘導された. (結論) 片側の精巣挫滅損傷によって, 自己免疫性の"交感性精巣炎"の誘導が見られた.免疫増強のため, 最初の精巣損傷から2週間目 (および4週間目) に同側精巣損傷を繰り返したが, 対側精巣のEAOの増強効果や自己免疫反応の増強効果は見られなかった.今回の我々のモデルは臨床的な精巣損傷に類似し, EAOやヒトの免疫学的男性不妊症の免疫学的機序の解明の研究に非常に有用であると思われる.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1995-12-20
著者
-
松本 哲朗
九州大学医学部泌尿器科
-
熊澤 淨一
九州大学医学部泌尿器科
-
熊澤 淨一
九州大学医学部泌尿器科教室
-
坂本 泰樹
JR九州病院泌尿器科
-
水之江 義充
九州大学医学部泌尿器科
-
坂本 泰樹
産業医科大学 泌尿器科
-
水之江 義充
九州大学医学研究院泌尿器科学分野
-
水之江 義充
九州大学 泌尿器科
-
熊澤 淨一
九州大学泌尿器科学教室
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