新生仔マウス精嚢のapoptosisとTGF-β_1 mRNA量に及ぼす去勢の影響

概要

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(背景と目的) 成獣雄ラットの前立腺では, 去勢により, TGF-β_1の発現とともに上皮細胞のapoptosisが起こる.今回, 我々は, 新生仔マウス精嚢のapoptosisとTGF-β_1 mRNA量に及ぼす去勢の影響を検討した. (方法) 新生仔BALB/cマウスを5日齢で, Pfeiferの方法に従い去勢し, 精嚢重量, 精嚢への3^H-thymidineの取り込み, RT-PCR法を用いたTGF-β_1 mRNA量, 精嚢上皮ならびに間質のapoptotic indexを調べた. (結果) 5日齢の新生仔マウスを去勢すると, 精嚢の重量と, 精嚢における3^H-thymidineの取り込みで代表されるDNA合成は, 正常マウスに比べて著しく減少する.このことは新生仔マウス精嚢の成長が精巣より分泌されるアンドロゲンに依存していることを示す.一方, RT-PCR法を用いたTGF-β_1量の検討では, 5日齢去勢後4日目で増加がみられた.しかし, 去勢により精嚢におけるapoptosisの増加はみられなかった. (結論) これらより, 成熟期ラット前立腺とは異なり, 新生仔マウス精嚢では, 去勢により一時的にTGF-β_1 mRNA量の増加がみられるものの, apoptosisは起こらないことが示された.TGF-β_1は, 分化細胞apoptosisのmediatorであり, 幹細胞のapoptosisを生じさせることはできないと考える.
1995-11-20