高齢者夜間頻尿に対するヒト心房性Na利尿ペプタイド (hANP) 及びアルギニンバゾプレッシン (AVP) の関与

概要

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(目的) 高齢者における夜間頻尿に, hANP及びAVPがいかなる関連を有するか検討した. (対象と方法) 理学的所見に異常を認めない, 健常若壮年者15例, 高齢者30例において, 8時, 14時, 20時, 8時に血漿hANP濃度及びAVP濃度を測定した.さらに同時間帯での6時間毎の尿量, 尿中Na, K及び尿浸透圧を測定した.また若壮年者群11例, 高齢者群17例において14時, 20時, 2時で肝静脈合流下部の下大静脈最大径 (IVC) を測定した. (結果) hANP平均値は高齢者の方が有意に高値で, AVP平均値は若壮年者の方が有意に高値であった.hANPの日内変動は若壮年者では昼間と夜間に有意の差を認めなかったが, 高齢者では夜間に有意の高値となった.AVPは若壮年者では昼間に比し夜間に有意の高値となったが, 高齢者では逆に夜間に有意の低値となった.IVCは若壮年者では著明な日内変動は認められなかったが, 高齢者では夜間に有意の高値となった.また尿量は若壮年者では昼間に多く, 高齢者では夜間に増加した. (結論) 夕刻から夜間の体液量増加とhANPの上昇及びそれに伴うAVPの低下が夜間尿量の増加を招き, このことが夜間頻尿の一要因を成しているものと思われる.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1995-11-20