排尿反射時の内尿道括約筋弛緩反応におけるnitric oxideの作用に関する実験的研究
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概要
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最近,in vitroの実験で,尿道平滑筋の弛緩にnitric oxide(NO)が関与しているという報告がある.今回,私たちは,ラットの排尿反射時の内尿道括約筋の弛緩に,NOの関与があるか否かについてin vivoでの検討を行った.ウレタン麻酔ラット22匹を用い,生理的食塩水の膀胱内注入による膀胱伸展刺激により律動性膀胱収縮を誘発し,膀胱内圧と内尿道括約筋部内圧の同時記録を行った.NOの前駆物質であるL-arginine,NOの作用経路阻害剤であるN^G-monomethyl-L-arginine(L-NMMA),N^G-nitro-L-arginine methyl ester(L-NAME)およびguanylyl cyclaseの活性化を阻害するmethylene blueを総腸骨動脈分岐部の腹部大動脈内に投与し,膀胱収縮時の内尿道括約筋部内圧の変化に及ぼす薬剤の影響を検討した.膀胱頚部で尿道を結紮し,横紋筋弛緩剤を投与し,膀胱,外尿道括約筋活動および尿流の内尿道括約筋部内圧への影響を除いた.麻酔ラットでも排尿反射時には,膀胱収縮にともない内尿道括約筋部内圧は下降した.膀胱収縮がないときにL-arginineを投与すると,内尿道括約筋部内圧は低下した.また,膀胱収縮時の内尿道括約筋部内圧の下降は,L-NMMA,L-NAMEおよびmethylene blueの投与により減弱した.以上の結果より,ラットの排尿反射時の内尿道括約筋の弛緩反応には,NOおよびcyclic GMPが関与していることが示唆された.
- 1994-07-20
著者
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