ヒト精巣におけるレニンの存在に関する検討
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概要
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以前より精巣Leydig細胞内にレニンあるいはレニン様物質が存在することが,実験動物やヒトで確認されていたが,循環血中レニンが細胞内に取り込まれた可能性も否定できず,実際に局所細胞で産生されていることを確認する必要があった.我々も精索静脈瘤症例の術前にhCGを負荷することにより,内精静脈血漿レニン活性が有意に上昇することを確認したうえ,ヒト精巣Leydig細胞内でのレニン生合成を検討した.まずヒトLeydig細胞腫を一定量のhCGを添加した組織培養液にてインキュベートすると,培養液にhCGにdose-dependentなレニン活性が認められた.次にヒト精巣よりTotal RNAを抽出後,ヒトレニン用のprimerを用いて,Reverse transcriptase-Polymerase chain reaction (RT-PCR)法にてcDNAを増幅し,PUC19ベクターにサブクローニング後塩基配列を決定し,それがヒトレニソcDNAと同一であることを確認した.またヒトレニンcRNAをブロープとしたin situ hybridization法によりヒト精巣内に陽性シグナルを確認した.以上の結果よりヒト精巣内でのレニンmRNAの発現およびレニンの生合成が証明された.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1993-08-20