経尿道的前立腺切除術に於ける自己血輸血の応用
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概要
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同種血輸血に伴う感染症や合併症を防止する目的で術前貯血式自己血輸血を試みた.1990年4月より1991年3月までに27例(平均年齢72.5歳)の経尿道的前立腺切除術を施行した.うち18例(平均年齢73.9歳)で手術3週間前に200〜400ml,平均244mlの自己血の貯血を行ない,16例で自己血輸血をした(うち5例は自己血だけでは足りず,同種血の追加輸血を要した).同種血のみを輸血したものは3例だった.貯血前の平均ヘモグロビン量は13.7±0.4g/dlで,術前の平均ヘモグロビン量は12.8±0.5g/dl,回復率92.5±2.7%だった.自己血輸血群(11名)では輸血に伴う感染症,合併症は認められなかったが同種血輸血群(8名)では1例に輸血中発疹が見られ,1例に術後1ヵ月後にC型肝炎の発症が見られた.経尿道的前立腺切除術では前立腺重量,出血量,手術時間の3因子相互間に正の相関関係が認められ,前立腺切除重量と出血量の相関係数は0.80,出血量と手術時間の相関係数は0.77,前立腺切除重量と手術時間の相関係数は0.85だった.従って前立腺重量の超音波計測により出血量,輸血必要量の術前予測が可能であった.前立腺肥大症の手術には緊急性がなく,術前野血が可能なので前立腺肥大症に対する経尿道的前立腺切除は自己血輸血のよい適応である.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1993-07-20
著者
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