表在性膀胱癌における再発因子の統計学的解析 : 表在性膀胱癌の自然史について
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概要
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1961年から1985年までの間に岡山大学泌尿器科において初回治療がなされ,臨床記録の整備されている表在性膀胱癌336例を,1988年12月まで経過観察し(中央値68ヵ月),初回に膀胱全摘や不完全治療が施行された9例を除いた327例に関して,再発に関する検討を行うとともに,Coxの比例ハザードモデルを用いた多変量解析により再発関連因子を評価した.検討因子として採用したのは,年齢,性別,腫瘍数,腫瘍の大きさ,深達度,異型度,形態,再発回数,手術方法,再発予防注入療法,再発予防全身化学療法,放射線療法,手術年月日の計13因子である.経過観察期問中,327例中179例は再発を認めなかったが,残りの148例は1回から11回のべ406回の再発を認め,特に,3回以上の再発を認めた57例では,最終治療後24ヵ月以上のdisease freeを確認し得た症例はわずか4例にすぎなかった.また多変量解析の結果,初発時では,腫瘍数が最も重要な再発危険因子であると示された.一方,再発406回の内,不完全治療や膀胱全摘が施行された68例を除いた338回を338例の再発症例として,解析すると,再発回数が,腫瘍数に次いで重要な再発危険因子となった.このことより,腫瘍の多発性とともに再発間隔が,再発性表在性膀胱癌の予後にとって重要な因子であることが示唆された.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1993-07-20
著者
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