家兎下部尿路自律神経受容体機能に対するテストステロンの影響
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概要
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下部尿路の自律神経受容体機能に対するテストステロンの影響を検討した.雄家兎を去勢し、膀胱、近位尿道のα_1、α_2、βおよびムスカリン受容体数の経時的な変化をradioligand binding法により測定した.近位尿道のα_1受容体数は去勢後経時的に減少し、8週間以後有意な変化を示した.近位尿道のα_2受容体数は、去勢後やや増加したが、有意差はなかった.膀胱体部のβ受容体数は、去勢後変化しなかった.膀胱体部のムスカリン受容体数は、去勢2週間後より有意に減少した.次に、対照群、去勢群、テストステロン補充投与群の3群で、8週間後の膀胱、近位尿道のα_1、α_2、βおよびムスカリン受容体測定と各受容体刺激剤に対する平滑筋切片の収縮張力測定を行った.去勢群の受容体数を対照群と比較すると、下部尿路の自律神経受容体数は前述の経時的変化と同様の結果であった.去勢により減少したα_1受容体数およびムスカリン受容体数は、テストステロン補充投与により対照群と同程度に回復した.各受容体刺激剤による暁胱、尿道切片の収縮張力反応は、受容体測定の結果と相関した.去勢は、下部尿路のα_1受容体およびムスカリン受容体機能を低下させ、テストステロン補充投与は、これらを回復させた.これらの結果は、テストステロンが下部尿路平滑筋の自律神経受容体機能に影響を与えることを示している.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1993-02-20
著者
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