泌尿器科悪性腫瘍における癌遺伝子増幅と癌抑制遺伝子の不活化 : 制限酵素切断多型性分析による検討

概要

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手術的に得られた腎癌24例,前立腺癌18例,腎盂移行上皮癌11例に制限酵素切断多型性(RFLP)分析を施行し,各種癌遺伝子の増幅,あるいは癌抑制遺伝子の不活化の有無につき検討した。Harveyras,c-myc,c-fos,c-myb,EGFR,PDGFRいずれの癌遺伝子も各腫瘍型にてDNAコピー数の過剰増加を呈さなかった。一方,RFLP分析にて癌抑制遺伝子の不活化を示す染色体座位欠失所見が各腫瘍型で検出された。腎癌では,第3染色体短腕(3p)に68%,第18染色体長腕(18q)に33%,Y染色体に29%,17pに27%の順に高頻度に座位欠失が見られた。前立腺癌で,16q(67%),8p(50%),18q(43%)10p(40%),10q(38%)に,腎盂移行上皮癌では,17p(73%),11p(64%),9p(40%)に高頻度の座位に欠失が認められた.各腫瘍型において癌細胞の悪性度が高い症例ほど多数の座位欠失を伴う傾向を示した。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1991-12-20