前立腺癌に対するLH-RH analogue療法の臨床的,内分泌学的検討

概要

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前立腺癌患者15例(stageB:3,C:8,D:4)に対し,Luteinizing hormone-releasing hormone analogue療法を3〜32ヵ月施行し,精巣内,精細管内および前立腺組織中androgen濃度を測定した.また血清PA,PAPも測定し,LH-RH analogueのandrogen濃度に対する影響,さらには前立腺組織中5α-dihydrotestosterone(DHT)濃度と治療効果との関連性について検討し,以下のごとき結果を得た.1)LH-RH analogue投与によりJohnsen's mean germinal epithelium countは著明に低下し,一方,精細管壁の厚さは増加した.2)血漿testosterone(T),精巣内および精細管内T,DHT濃度は著明に低下した.3)さらに前立腺組織中粗核内DHT濃度も著明に低下し,8例中5例が測定感度以下であった.4)Shimazaki's criteriaによる臨床効果判定はCR1例,PR5例,OS8例,PD1例であった.さらに治療前の前立腺組織中DHT濃度が高値(10pg/mg proteinあるいは2ng/g.t.w.以上)の例では,LH-RH analogue療法が奏効した. 以上より,LH-RH analogueは精巣内および精細管内androgenに対し強い抑制作用を有し,前立腺組織中DHT濃度が高値を示す前立腺癌患者に対する適切な治療薬であると考える.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1989-06-20