抗癌剤投与時における実験的代償性腎肥大の生化学的研究
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概要
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ウィスター系雄性ラットを用いて,代償性腎肥大におよぼすmitomycin Cあるいは5-fluorouracilの影響を核酸量および蛋白量の変化を指標として検討した.観察日数は手術後1,3,5,7,10,14日目とし,抗癌剤は LD_<50>の1/10量を1回腹腔内投与した.腎,皮質,髄質の各重量ともに,腎摘除術のみの群では14日目まで経日的な増加傾向が認められた.一方,抗癌剤投与群では10日目までほぼ同様の傾向が認められたが,14日後には腎摘除術のみの群に比し有意に低値を示した.細胞のhypertrophyは皮質,髄質ともに腎摘除術のみの群では1日以内に始まり,14日目まで継続していると考えられた.一方, hyperplasiaは皮質では1日目と3日目の間に強く,以後も軽度ではあるが持続した.髄質でも同様の傾向であったが皮質に比し軽度であった.これに対しmitomycin C投与では,皮質,髄質のhypertrophyに与える影響は少ないが,hyperplasiaに対する抑制は強く,7日目には細胞の核の崩壊によると考えられ・NA含量の著しい低下が認められた.しかしその後は急速な回復傾向が認められた.5-fluorouracil投与では,皮質,髄質ともに1日目までのhypertrophyの強い抑制と3日目までのhyperplasiaの軽度の抑制が認められたが,以後の影響は少なかった.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1981-07-20
著者
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