イヌの迷走神経求心性刺激および消化管伸展の排尿反射,および橋排尿中枢活動に対する効果
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概要
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(1)ケタミン麻酔後除脳したイヌ21頭を用い,迷走神経求心性刺激および消化管伸展の膀胱運動に対する影響を観察した. 頸部迷走神経を切断後その中枢端を刺激すると膀胱は弛緩し,骨盤神経膀胱枝の遠心性活動は抑制された.また食道,胃,十二指腸の伸展により膀胱運動は抑制された.この抑制効果は十二指腸伸展の一部の例を除いて両側迷走神経切断後消失した. (2)つぎに10頭の除脳イヌを用いて,迷走神経求心性刺激の橋排尿中枢活動に対する効果を観察した.ガラス微小電極法を用いて橋吻側部の上小脳脚内側縁近くの部位に電極を刺入して,骨盤神経膀胱枝の求心性刺激に応答する59ユニットを検出した.その中で骨盤神経膀胱枝の遠心性リズム2.2〜2.5Hzと類似のリズムで発火するもの6ユニットが存在した.その誘導部位は橋背外側被蓋核とその直腹側部であった.この型の発射を示すニューロンは,下降性の出力ニューロンと推定され,その活動は迷走神経前幹の求心性刺激によって抑制された. 以上のことより食道・胃・十二指腸伸展刺激による膀胱抑制は,主として迷走神経を求心路として骨盤神経活動を抑制することで発現すると推定される.強い十二指腸伸展刺激によっては,内臓神経を求心路としても膀胱抑制が発現する場合があると考えられる.また迷走神経を求心路とする膀胱抑制は橋排尿中枢活動を抑制することによって引き起こされると結論される.
- 1992-12-20
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