膀胱腫瘍に対する制癌剤の多剤順次連日投与法の有効性に関する実験的研究
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概要
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5種の膀胱癌樹立培養細胞株を用いて、制癌剤の多剤順次連日投与法による抗腫瘍効果を^3H-thymidineの比とりこみ量から検討した。BLM、VCR、CDDP、MMC、ADM、CQの計6種の制癌剤のHUB4、HUB6、HUB15、HUB31およびT24の計5株に対する増殖阻害作用の強さは、各薬剤に対する培養癌細胞株の濃度反応曲線から求めたID50によって判定した。その結果、増殖阻害作用の強さはCQ>ADM>CDDP>MMC>VCR>BLMの順であった。BLM、VCRおよびCDDPの順次連日接触法による培養癌細胞株に対する増殖阻害の検定は、(a)各々薬剤の単独群、(b)3剤同時接触群、(c)3剤をBLM、VCR、CDDPの順で連日作用させる3剤順次連日接触群の3系列の比とりこみ量について推計学的処理を行った。(c)群の比とりこみ量は5株の平均が33%で、(b)群の54%との間に推計学的有意差を認め、順次連日接触法の有効性が示された。また個々細胞株についてみると、順次連日接触法が有効であったHUB6とHUB15の2株はヌードマウス背部皮下で乳頭状増殖を、有効でなかった2株は非乳頭状増殖を示した点で異なった。3剤順次連日接触法の効果が3日間の3薬剤の単なる累積効果であるとした場合の期待される比とりこみ量は5株の平均で42%であったが、実測値は33%であった。この両者の差が3剤順次連目接触法の付加的効果一細胞同調法の効果と考えられた。
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1984-08-20
著者
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