泌尿器科領域における尿中ferritinの研究 : 第3報腎障害時の尿中ferritin動態

概要

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腎障害時の尿中 ferritin動態を検討する目的で, 腎障害例73例 (慢性糸球体腎炎7例, 腎盂腎炎急性期22例, 慢性腎盂腎炎16例, 尿路悪性腫瘍上部尿路障害例11例, 腎結核2例, 嚢胞腎3例, 腎損傷2例, 水腎症非感染例10例) で血清, 尿中 ferritin, β_2-microglobulin (β_2-MG), 血清 creatinineを測定し以下の如き結果を得た.1) 血清 ferritinと血清 creatinineの間に密接な関連性はみられなかったが, 血清β_2-MGとcreatinineの間には良性疾患 (相関係数 r=0.830, N=56), 悪性疾患 (r=0.817, N=19) とも密接な関連性が認められた. 2) 尿中β_2-MGは腎盂腎炎急性期, 尿路悪性腫瘍で, 一方尿中 ferritinは慢性糸球体腎炎, 尿路悪性腫瘍で著明に上昇した.この事より尿中 ferritinは腫瘍細胞よりの分泌あるいは壊死による逸脱, 腎糸球体の sieving effectの障害, 尿細管細胞壊死による逸脱などによる事が示唆された.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1983-07-20