内分泌療法中の前立腺癌における副腎アンドロゲンに関する研究
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概要
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血中4-androstenedioneの測定法を検討し,また,これを指標として,前立腺癌に対する副腎androgenの影響につき考察した. hexestrol 30mg/day,あるいは,chlormadinone acetate(CMA)100mg/dayを2ヵ月から最長9年にわたり投与された前立腺癌患者,延べ94人を対象として,血中4-androstenedione,testosterone, cortisolおよび精巣組織中steroidogenesis,intratesticular testosteroneを検討し,以下の結果を得た. 1)estrogen療法により,血中 cortisol値の著明な上昇を認めた. 2)hexestrol投与2ヵ月後の精巣組織中steroidogenesisは完全に阻害され,また,CMA投与2ヵ月後のintratesticular testosterone濃度も著明な低下を認めた. 3)長期にわたる内分泌療法時の血中testosterone値は,平均34.5±19.7ng/dlと低値を持続した. 4)estrogen療法中の血中4-androstenedione値は,9年の経過中,平均52.9±20.0ng/dlであり,異常高値は示さず,またCMA療法では,初期に低値を示した血中4-androstenedione値が,漸増傾向を示すものの,平均49.9±20.9ng/dlと異常な上昇は認められなかった. 5)再燃症例の血中4-ardrostenedione値は,すべて正常老年男子値範囲に分布した.以上より前立腺癌内分泌療法継続中に発症する前立腺癌再燃に,副腎androgenの関与の可能性は,少ないものと考えられた.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
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