抗菌剤の投与方法に関する研究(II) : マウスを用いた感染治療実験
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概要
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抗菌剤の効果的な投与方法を探求する目的で,マウスの感染治療実験を行った.E. coliの腹腔内接種による感染マウスにampicillinおよびkanamycinの一定の投与量を1回で投与した群と2回に分割して投与した群にわけてその治療成績を比較すると,ampicillin投与例では2回分割投与群がすぐれていたが, kanamycin投与例では両者に差が認められなかった.各投与群での薬剤血中濃度パターンを考慮すると, ampicillinは薬剤の持続時間が治療効果に重要な影響を及ぼし,kanamycinは薬剤の濃度も重要であることが判明した.この傾向はampicillinに対する感受性が異なる菌種(S. aureus, P. morganii)を用いても同様に認められた.またampicillinの投与量を均等に5分割して投与した成績は2回分割投与群に比し劣る成績であったが,5回分割投与でも初回量のみ増量した群では,2回分割投与群の成績を上回り,いずれも総投与量としては同量であるにもかかわらず,初回増量5回分割投与群が最もすぐれた成績であった.したがって単に分割回数を増せば良いというわけではなく,一定の薬剤濃度が必要であり,その濃度は初回投与時に特に重要な意味をもつものと考えられる.今回行った動物実験の成績は生体防禦能も加味された成績であるが,すでに報告したin-vitroの実験結果とほぼ一致するものであった.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
著者
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坂 義人
岐阜大学医学部泌尿器科
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坂 義人
岐阜大学医学部泌尿器科学教室
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早野 和夫
東洋醸造株式会社研究部
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横井山 繁行
東洋醸造株式会社研究所
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早野 和夫
東洋醸造株式会社研究所
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早野 和夫
東洋醸造株式会社 安全性研究所
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