CT スキャンの臨床的有用性とその限界
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概要
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頭部のCTの有用性はすでに広く認められているが,躯幹のCTの有用性についてはまだ議論がある.腎および尿路については,従来IVPという有効な検査法があるが,CTではIVPで見逃される病変が捉えられることも多い.例えば腎杯と腎杯との間の小病変や,腫瘍の臓器外浸潤,さらに排泄機能が無い場合の病変の描出などに右用である.副腎に関しては,小さな病変でも少ない侵襲で描出され,現在最も信頼されている検査法である副腎静脈造影に先立って行われるべきと考えられる.骨盤腔臓器や後腹膜腔臓器の病変においても,従来の検査法では描出されなかった病変も容易に示される可能性がある.CTは装置がまだ未完成であり,動きによるアーティファクト等が画像の不鮮明さをもたらし,また放射線による被曝が伴うという欠点がある.今後従来のX線検査のほか,超音波検査なども組み合せて,泌尿器科系の疾患の診断に寄与することが期待される.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1979-09-20