腎細胞癌の予後
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概要
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1)千葉大学医学部泌尿器科および2つの関連病院において,腎剔出術を施行した腎細胞癌症例104例を集計し,その臨床像,臨床病理学的所見および治療法等につき,検討を加え,これら各要因と予後との関連性につぎ解析した.2)期待生存率と累積生存率とを比較検討した結果,治癒判定時期は,厳密には,術後15年以上,推計学的には術後5年,と考えられた.3)累積生存率,相対生存率,および,5年以内死亡例と5年以上生存例の比較検討等において,予後と最も良く関連性を示した要因は,病期分類であった.その他の因子で,いずれかの検討方法により,比較的良く関連性を示した要因は,静脈内腫瘍栓塞,腎孟内侵潤,血尿のみ,腎重量,発熱,および,赤沈値等であった.4)治療法と予後については,病期分類別に検討したが,関連性をみとめなかった.しかし,何らかの補助療法を併用した方が,治療成績は良好であった.また,経腹腔式腎剔出術,および,ホルモン療法の併用等の治療成績が優れている傾向を示したが,近年の術後管理の発展が影響を与えた結果とも考えられた.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文