個別指導場面における授業分析手法の開発
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概要
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体育の授業を例として,個別指導場面での教師の論理や視点を分析するための授業記録の方法を開発した.これまでののT-C授業記録の方式では,学級全体を対象とする音声言語が記録されるのみであったため,個別の子どもへの対応の情報が欠落していた.そこで,授業後のビデオ視聴に基づく授業者の言明からの情報採取(刺激回想法)によって,授業に関する情報を補い,教師の教授方略や教育的タクトの内容を知ることを試みた.ここでは,授業の全体的な展開過程を検討するために授業を分節に分け,いくつかの授業場面の事例検討を行った.結果として,教師の論理や視点を考察し,これによって個別指導場面での教師の活動やことばの意味を理解することができた.教師は,授業の目標や授業以前の子どもの状態を念頭に置きながら,授業中に生起する様々な事態に対処するために,個々の子どもに臨機に対応していた.刺激回想法を併用した授業研究法は,教師の実践的知識の把握のために有効であると考えられる.
- 1995-03-20