京都西山地向斜堆積物の研究
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概要
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京都西山山地を南流する芥川沿いには, ペルム系の好い連続露頭があり, 丹波層群の基底部を除いた全層序を代表している。これは地向斜堆積物であり, その下部2/3は頁岩が卓越し, チャート, 緑色岩類および小量の砂岩をふくむ深海堆積物で代表されている。上部1/3は紗岩相であり, 完全とはいえないがfly schを示している。前者をShale-chert相, 後者をfly sch相とする。また層位上3分され, 下部田能層, 中部出灰層, 上部高槻層とする。田能・出灰両層はshale-chert相に, 高槻層はfly sch相に相当する。Shale-chert相中にも何回かの薄いfly sch状堆積物をはさんでいる。これは本地向斜の他の地域での土地の隆起と関係するものと考える。また, このfly sch状堆積物はNeoschwagerina craticurifera亜帯のすぐ下から始まる。本地域のfly schの砂岩部は細粒で, gradingはほとんどなく, BOUMAのものとはかなりちがっている。この地向斜堆積物ははじめに深海性の堆積物によってはじまり, 次第に粗粒物質が増加し, fly schとなり, 最後に地向斜盆地が充填されたものと考える。化石によると, この堆積物は最下部ペルム系から中部ペルム系の最上部を示している。さらに, その上部には3000 mに達する無化石帯が来る。その大部分は上部ペルム系に属するとおもわれる。最上部が三畳系に延びるか否かは不明である。
- 1971-07-31