北海道日高変成帯,幌満かんらん岩体における延性剪断運動の反転
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概要
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日高変成帯の最南端に分布する幌満かんらん岩体の上部層と下部層最上部のかんらん岩はイクイグラニュラー組織で特徴づけられ, そのかんらん石の非対称格子ファブリックは, 上盤が南に移動する剪断センスを示す。一方, 最上部を除く下部層は主にポーフィロクラスティック組織で特徴づけられ, 上盤が北に移動するセンスが優勢であるが, いくつかの試料は剪断センスを決定できない。最下部かんらん岩マイロナイトは周辺のテクトナイトと同様に上盤が北に移動するセンスが得られ, 両センスを示す変形斜方輝石が混在する。以上の組織と運動像の解析から, もともと上盤が南に移動する剪断センスのファブリックを持っていた岩体の下位の部分に上盤が北に移動するセンスの変形が重複した, と結論される。また, 最下部かんらん岩マイロナイトはその上盤が北に移動するセンスの変形時の相対的に低温条件である最終ステージに形成されたと考えられるが, 周囲の変成岩および, これまでに報告された日高変成帯の運動像とはセンスが逆であることが明らかになった。
- 日本地質学会の論文
- 1997-04-24
著者
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澤口 隆
Division of Geology, Graduate School of Science and Engineering, Waseda University
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高木 秀雄
Institute of Earth Science, School of Education, Waseda University