深成岩体中の不均質構造:日高変成帯主帯, トッタベツ複合深成岩体の例
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概要
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北海道の日高変成帯主帯には大陸性地殻-マントル断面が露出し, プレート収束境界における火成プロセスを検討するうえで重要なフィールドである。変成帯主帯北部に位置するトッタベツ複合深成岩体はかつての日高地殻中部から上部にかけて貫入・定置した塩基性から酸性にいたる様々な深成岩類から構成される複雑な内部構造をもつ岩体である。そこではプライマリーな火成活動と, マグマと固結相の反応からなる2次的な火成活動を区別することができる。プライマリーな火成活動はソレアイト質系列の塩基性火成活動と, カルタアルカリ質系列の酸性火成活動からなり, 塩基性火成活動の方が時期的に早い。2次的な火成活動には塩基性マグマと壁岩や堆積岩起源の変成岩ゼノリスとの反応によるノーライト質岩の形成, 酸性マグマが塩基性岩類を同化することによる閃緑岩類の形成がある。閃緑岩類はカルタアルカリ質系列に属する混成岩であり, 地殻下部物質の部分溶融で形成されたカルタアルカリ質なアナテクサイトとは成因を異にする。
- 1997-04-24