日本列島の基盤 : 堆積岩のクロムからの推定
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概要
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砕屑性堆積岩中の微量元素クロムを,その供給源地における塩基性岩と酸性岩の割合を推定するのに使った。おもに花こう岩からなる大陸地殻上部のクロム存在度は40ppmと見積られる。深海玄武岩の平均クロム含有量は300ppmである。先カンブリア時代初期の地層はクロム含有量が高く,塩基性岩の比率が現在より高かったことを示すのかもしれない。主として玄武岩と安山岩でつくられる伊豆マリアナ島弧は,大陸と海洋地域のあいだに入るクロム存在度をもつ。日本の非変成古生層,中生層,第三紀層それぞれの平均クロム含有量は,いずれも約40ppmと大陸地穀の存在度に等しく,酸性岩を主体とする後背地から供給されたことを示唆する。日本の主要変成帯:飛騨・領家・三波川・三郡各帯の泥質および砂質岩は,非変成堆積岩とほぼ同様な比較的低いクロム含有量をもつ。特に,飛騨変成岩は著しくクロムに乏しい。一方,日高・鵜ノ木・母体・壷ノ沢・松ヶ平・御斎所・蓮華・河守・寺野各変成岩は,堆積岩平均値より高いクロム含有量を示す。これらは塩基性・超塩基性岩と伴なうことが多く,その一部は海洋地殻上の島弧を含むかもしれない。
- 日本地質学会の論文
著者
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白木 敬一
Department Of Earth Sciences Yamaguchi University
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白木 敬一
Department Of Geology And Mineralogical Sciences Faculty Of Science Yamaguchi University
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