流体組成変化をともなう接触変成作用 : とくに飛騨変成帯,船津花崗岩類について
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概要
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飛騨帯の船津花崗岩類には多様な接触現象の存在が報告されている。この接触現象について,飛騨変成帯北西端の百瀬・水無地域での例を解析した。この地域の石灰珪長質岩類に対する接触変成作用は,小花崗岩体にむかって累進的な三つの変成帯(A帯→C帯)が区別される。また黒雲母片麻岩や角閃石片麻岩に対しては,著しい緑泥石化作用を与えている。つまり,百瀬・水無地域の花崗岩による接触変成作用は,変成作用のピーク時に,母岩の温度を上昇させているばかりでなく,母岩の粒間流体の組成をも変化させている(X'_<CO2>が減少する)と考えられる。飛騨帯の他地域の船津花崗岩類の多様な接触現象と百瀬・水無地域のそれとを比較検討した。これによると,母岩の状態に応じて四つの接触現象の形態が認められた。船津花崗岩類が母岩に対して接触変成作用を与える時に,吸水反応をひきおこすか,脱水反応をひきおこすかは,その母岩の状態(比較的乾燥した状態か,湿った状態か)に応じて変化すると推定された。
著者
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稲月 恒夫
Department of Geology and Mineralogy, Faculty of Science, Hokkaido University
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稲月 恒夫
Department Of Geology And Mineralogy Faculty Of Science Hokkaido University