島根縣笹ヶ谷鑛山に於いて黄銅鑛鑛化作用に伴われ黄鐡鑛の白鐡鑛, 磁鐡鑛, 赤鐡鑛への轉移
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概要
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島根縣笹ケ谷鑛山の鑛石を研究中、黄鐡鑛の結晶の1部が黄銅鐡の鑛化作用に伴われ、白鐡鑛、磁鐡鑛、及び赤鐡鑛の集合に轉移したと解せられる事實を認めた。之に對し次の考察を行つた。(a) 黄銅鑛の鑛化作用は酸性溶液の環境で行われたものであろう。(b) Allen, Crenshaw, Johnstone, Larsen, によると黄鐡鑛より白鐡鑛への轉移は不可能であるが、M., J., Buerger の行つた次の式により述べられている解釋ではこの變化は可能である。xH 2SO 4+xFeSO 4+FeS 2=Fe Fe x S 2-x +xH_2S+2xSO_4+4x⊕ 黄鐡鑛 白鐡鑛 従つて上の事實は説明つく。(c) 一般に白鐡鑛は低温に於て成生したと云われるが、尚檢討を要する。(d) 又上記黄鐡鑛の磁鐡鑛化又は赤鐡鑛化は黄銅鐡の鑛化作用を與える状態にて、行われた事を物語る。尚磁鐡鑛中に見られるマルタイト化作用 (martitization) は、この黄銅鑛鑛化作用に伴つた酸化作用によつたものであろう。
- 日本地質学会の論文
- 1951-06-25