腕足類殻のPunctationに就きて
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概要
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現世並に化石腕足類の殻が多少canals又はtubesにより横貫され, 更に上方に擴がつて表皮層(Periostracum)を通ぜずにlamellar layerにて止まると言はれる。之等の孔は種々の型に分類される。大別すれば單純型と分岐型である。之等の孔は, 學者により感覺器, 食道管, 水管及び呼吸器であると言はれて居るが未だ其の機能は決定されない。然し筆者はTerebratalia coreanicaに於ける自身の觀察並に函館高等水産學校の田村正助教授の實驗より呼吸器であると信ずる。Punctationは或著者は種の識別に役立つものとし, 又genetic serisを示すものであると説ける學者もある。詳細は後日發表の豫定であるが此所に著しいものゝ一部を擧げて見るに, 1)impunctateの殻を有するものはRhynchonellidaeのものに多く, prismatic及びcapillary structureが良く觀察される。2)punctateの型は2型が容易に決定されradial ribsを有する殻は一般に分岐型で, 有しないものは單純型である。筆者は是による分類をより一層精密に行へば此の孔のみで屬並に種を決定し得る可能性あるものと思ふ。
- 日本地質学会の論文