汽水湖環境への人為的影響と自然的影響の評価 : 中海の有孔虫による証拠
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概要
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20世紀を通じて日本の汽水湖の多くは人間活動によって大きく改変されてきた.このような汽水域の生物生態系に影響を与えたものとして,多くの人工構築物に加えて自然作用としての海水準変動があげられる.しかしながら,人間活動と自然との相互関係を実証した研究例は少ない.本論では,有孔虫によって20世紀の人間活動と自然の環境評価を大規模干拓工事の中止された中海で行なった.その結果,人間活動と自然変動が共に作用した場合,もっとも顕著な環境変化を起こすことを認めた.たとえば,1930年代の大規模浚渫工事は1940〜1950年代の生物群を多様化させた.このとき日本海域における海水準が上昇し,中海の湖水循環が活発化している.さらに,1970年代の干拓工事で形成された水門や堤防は,ここで中海固有水(NPW)と称した水域の停滞性をさらに拡大させ,1980年代以降,水質の富栄養化を特徴づける有孔虫の発達をもたらした.
- 2003-04-15
著者
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