笑気吸入のラット舌反射に及ぼす影響
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概要
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顎-口腔系の反射活動に笑気吸入がどのような影響を及ぼすかを調べる目的で, エトレン浅麻酔下・非動化したラットを用いて, 笑気吸入前, 吸入中および笑気離脱後における反射性放電の変動を検索した.反射活動としては舌-舌下神経反射を使用した.吸入する笑気はそれぞれ30%笑気群として30%笑気・酸素の混合ガスである30%-N_2O premixed gas(アネソキシン-30[○!R]), 50%笑気群として50%笑気・酸素の混合ガスである50%-N_2O premixed gas(アネソキシン-50[○!R])を用いた.1. 潜時, 放電ピークまでの時間は30%, 50%笑気群はともに似た傾向を示した.すなわち笑気吸入中は大きな影響はなかったが, 笑気離脱後は対照値に比して有意に延長した.2. 放電時間は30%笑気群は外側枝で吸入初期に延長傾向, また離脱初期に有意の延長が認められた.50%笑気群では吸入中に内側枝, 外側枝ともに有意の短縮を示したが, 離脱後には一定の傾向は見られなかった.3. 放電の振幅において30%笑気群では吸入中は2枝ともに有意の低下を示した.離脱後においては2枝ともに回復傾向を示したが, 内側枝では離脱後20分まで有意の低下が見られた.50%笑気群において吸入中は内側枝では低下傾向, 外側枝では有意の低下が見られた.離脱後は2枝ともに回復傾向を示した.以上の結果から笑気の舌-舌下神経反射への影響としては30%笑気では主に自律神経系への抑制による影響が推測され, これに対して, 50%笑気では感覚神経系への抑制による影響が示唆された.また, 笑気の自律神経系への影響としてはその抑制作用と興奮作用の変換点が50%濃度の付近であることも示唆された.
- 九州歯科学会の論文
- 1990-04-25