犬の下顎動脈の機能的分布について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
40匹の成熟雑犬を使用し, 下顎に関係すると考えられる各動脈の単独又は複合結紮を行った後, 麻酔下に墨汁ゼラチンを左心室又は結紮動脈より近位部から注入し, 注入料の拡がりを見ながら, 一定量を注入した後, 断頭, 固定及び脱灰操作を施こし, 左右の下顎を5ブロックに分け, 前方4ブロックの後面を双眼顕微鏡下に観察し, 注入料の分布状態を観察した.得られた結果は以下のとうりである.1. 一側の下歯槽動脈の結紮では, それより末梢では結紮部に近い程注入が悪く, 下顎先端に近い部分では, 反対側の動脈よりの代償によって, やや注入度がよい.2. 一側の舌及び顔面動脈の結紮は, 下顎の骨膜層に近い部分で, やや低い注入度であった.3. 顎動脈の結紮は, それより末梢の下歯槽動脈の結紮よりも低い注入度を示した.4. 総頸動脈の結紮は, その枝の結紮の総和に等しい成績を示した.5. 一側の動脈の2本を同時に複合結紮した場合には単独結紮に比較して, より低い注入度となった.6. 特定の血管への注入は, 最も低い注入度であったが, その血管の形態学上の拡がりよりはやや広く注入された.7. これらの実験から, 動脈の機能的拡がりは形態学的拡がりよりも広いこと, 即ちそれらの血管の強い代償能が証明された.
- 九州歯科学会の論文
- 1973-09-30
著者
-
長谷川 一夫
九州大学歯学部第一口腔解剖学教室
-
石田 雅男
九州大学歯学部第一口腔解剖学教室
-
堀尾 翼
九州大学歯学部第一口腔解剖学教室
-
堀尾 翼
九州歯科大学口腔組織学教室:九州大学歯学部第1口腔解剖学教室
関連論文
- 虹マスの頭部静脈 : 特に歯の静脈分布について
- 犬の下顎動脈の機能的分布について
- メダカ Orjzias Latipes の歯牙の血管分布について
- 縞蛇の頭部, 特に歯に分布する動脈
- 縞蛇の頭部, 特に歯に分布する動脈 : 主論文の要旨