乳歯う蝕発生と歯垢中レンサ球菌, とくに Streptococcus mutans との関連性ならびに糖質摂取および歯質抵抗性の影響
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概要
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乳歯う蝕発生に対するStreptococcus mutans (Str. mutans), 糖質摂取.歯質耐酸性のう蝕要因としての関連性を検べる目的で, 生後13カ月から17カ月の無う蝕の子供29名を対象とし, 初回, 半年後1年後の3回に亘り, う蝕発生の状態と歯垢中レンサ球菌の培養による検出, また歯垢の酸産生力, さらにその期間中の間食による糖質の摂取状態を問診により調査, また, 乳歯の溶出リン量を測定し, 歯の耐酸性を検べた.実験期間中にう蝕発生がみられたCaries active groupはう蝕発生がみられなかった.Caries free groupよりもStr. mutansの検出において, 実験開始時に既に高く, その後も著明な増加がみられ, また, う蝕発生の半年ないし1年前に, Str. mutansの出現が観察され, 乳歯う蝕発生と歯垢中Str. mutansとの間に深い関連性が認められた.しかしStr. mutansが検出された総ての被検者において, 半年ないし, 1年後にう蝕発生はみられなかった.すなわち, Str. mutansの出現のみが, う蝕発生を誘導するものではないことが示唆された.糖質摂取は, 間食の種類と摂取回数についてCaries active groupとCaries free groupを比較した結果, 両群の間に有意の差がみられ, 糖質摂取とう蝕発生との関連性が示された.歯の耐酸性については, 溶出リン量のμg数をもってう蝕発生との関連性を検討したが, 明らかな成績は得られなかった.歯垢の酸産生力とう蝕発生あるいは, Str. mutansの出現との間に関連性がみられた.歯垢中Str.mutansの量, 糖質摂取の状況, および, 歯質耐酸性度に対し, それぞれに3段階のscoreを付け, 被検者個々に3要因の総合点をもって, Caries active groupとCaries free groupについて比較検討した結果, 乳歯う蝕発生とStr. mutansのみとの関連度よりも, 糖質摂取, 歯質の耐酸性要因を加えた場合により高い相関性が示された.
- 九州歯科学会の論文
- 1979-03-31
著者
関連論文
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