可視光線重合型義歯床用レジンの基礎的研究(I) : シクロホスファゼンモノマーの組成変化が物性に及ぼす影響
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概要
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本研究は, 可視光線重合型義歯床用レジンの試作に関するもので, その要旨は, 義歯作製工程の簡略化と物性および模型との適合性の向上を目的とし, 組成と物性について検討したものである.とくに, モノマーは, 疎水性基および重合性基を有するシクロホスファゼンモノマーを用いて, レジンマトリックスを強化し, 機械的性質を向上させるとともに, 吸水量を低下させることを目的としたものである.実験材料のシクロホスファゼンモノマーは, P_4N_4(CF_3CH_2O)_2〔CH_2=C(CH_3)COO(CH_2)_2O〕_6以下〔4PN-(TF)_2-(EMA)_6と略記〕と, 2, 2-ビス〔4-(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン(以下BPE200と略記)を選定し, 4PN-(TF)_2-(EMA)_6モノマーの配合量は, 10〜35wt%とし, BPE200モノマーは, 0〜25%とし, 6種の組成物を作製した.試作可視光線重合型義歯床用レジン6種の内, 機械的性質が良好で, 吸水量が比較的少ない組成は, PMMAおよび粘度調整剤としてのシリカがそれぞれ55および10%とし, これに4PN-(TF)_2-(EMA)_6モノマー20およびBPE200モノマーを15%配合した場合であることを明らかにしている.上記組成物の曲げ強さは, 820kg/cm^2を示し, 弾性率は3.2×10^4kg/cm^2で, たわみは, 15→35および15→50Nで, それぞれ0.9および1.6mmを示した.また, 硬さはHRS68を示し, 吸水量および溶解量は, それぞれ24.8および1.1μg/mm^3を示した.接触角は71°を示した.
- 1988-03-25