歯質接着性レジンの研究 : O-methacryloyl Tyrosine Amideの表面処理効果について
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概要
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歯質に接着する複合材料は歯科治療の中で重要な役割を占めている.本研究ではコンポジットレジンと歯質の接着性向上を目的としてグルタルアルデヒド, HEMA, MTYA(O-メタクリロイルチロシンアミド)を含む新しいプライマーを調整した.プライマーは, グルタルアルデヒド, HEMAとMTYAの濃度や組合せを変化させて調製した.ボンディング剤はクリアフィルニューボンド, コンポジットレジンはクリアフィルFIIを使用した.接着後, 37℃水中1日浸漬後の接着強さを測定した.その結果, 1%グルタルアルデヒド, 35%HEMA, 3%MTYAを含むプライマー1-35((MTYA)が, 象牙質への接着に最も効果的であった.酸処理後, 1-35(MTYA)を作用させた新鮮牛象牙質に対する接着強さは, 10%クエン酸処理で約10MPa, 40%リン酸で約16MPa, 10-3で約11MPaとかなり良好であった.SEM観察では, 酸処理による象牙質の脱灰層の厚さと樹脂含浸層の厚さがほぼ一致した.エナメル質でも同様に接着試験を行なった.40%リン酸処理で約25MPaの良好な接着強さを得た.以上の事実からプラマー1-35(MTYA)は, コンポジットレジンと歯質の接着の向上に非常に効果があることが判明した.
- 日本歯科理工学会の論文
- 1988-05-25