可視光線重合型レジンの基礎的研究 : 還元剤としてのアミンの選定およびその配合量と物性の検討
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概要
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本研究は, 可視光線重合型レジンの物性の向上, とくに, 重合率の向上およびそれにともなう吸水および溶解率の大幅な低減を目的としたものである.すなわち, シクロホスファゼンモノマー4PN-(TF)_1-(EMA)_7に配合する光増感触媒のうち, 還元剤のアミンの種類を変化させて可視光線重合型レジンを試作した.アミンとしては, エチル-p-ジメチルアミノベンゾエート(DMAB), メタクリロキシエチル-p-ジメチルアミノベンゾエート(DMAB-EMA)およびメタクリロキシグリシジル-p-ジメチルアミノベンゾエート(DMAB-GMA)の3種を用いた.それらの硬化物をそれぞれ, 蒸留水およびMeOH中に浸漬して, 吸水率, 水中での溶解率, MeOH中での膨潤率および溶解率を検討した.その結果, DMAB-EMAを用いたレジンの場合が, 比較的溶解率が小さく良好と判断された.次に, DMAB-EMAの光増感剤(CQ+DB)に対しモル比で0.5〜5.0の範囲で配合量を変化させて可視光線重合型レジンを試作し, それらの硬化物の吸水率, 溶解率, MeOH中での膨潤率およびMeOH中での溶解率, THF中での膨潤率および水中浸漬した場合の機械的性質について検討した.その結果, レジンを30日間浸漬した場合, 水中およびMeOH中での溶解率はモル比[DMAB-EMA/(CQ+DB)]3.0で最小となる傾向を示した.また, MeOH中での溶解率(HPLC)は, モル比2.0で最小を示し, モル比2.0未満では光増感剤およびモノマーが溶解し, モル比2.0以上では光増感剤およびDMAB-EMAが溶解した.また, THF中での膨潤率は, DMAB-EMAの配合量の増加にともない減少し, モル比3.0以上でほぼ一定となった.水中浸漬7日後の圧縮強さは, DMAB-EMAの配合量の増加にともない増加したが, 曲げ強さは, モル比2.0まで増加した後ほぼ一定値を示した.結局, 試作可視光線重合型レジンに配合する還元剤は, DMAB-EMAが最適で, その配合量は光増感剤に対しモル比で2.0〜3.0が良好と判断された.
- 1989-05-25
著者
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