歯科充填材料の歯髄由来初代培養細胞に対する細胞毒性(in vitro)
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概要
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歯髄由来初代培養細胞を用いた短期間培養法にて市販の成形充〓材料および根管充〓材料9製品の細胞毒性をしらべた.測定は画像解析, 核数計算法による算定ならびに吸光度測定によった.その結果, 冠部歯髄細胞と根部歯髄細胞への各材料の影響はきわめて類似していた.すなわち, 各材料の細胞毒性は顕著でなく, また材料間の比較でも似かよっていた.それに反して同時にしらべた株細胞であるL細胞では細胞毒性順位は変わらないものの, 両細胞に対して以上に材料の影響が強く現われた.硬化時間の点からみると, 成形充〓材料の未硬化試料は硬化試料に比較して強い細胞毒性を示したものの, 硬化すると消失した.それに対して根管充〓材料では未硬化試料と硬化試料にかかわらず, 細胞に対して強い細胞毒性を示した.細胞毒性順位は, ダイアケット, カルビタール(強い);キャナルス, パルプキャナルシーラー, AH-26(中等度);成形充〓材料3製品およびクロロパーカ(弱い), であった.また, 培養時間の長短による細胞増殖への影響は認められなかった.以上, 今回の実験から歯髄由来初代培養細胞と株細胞であるL細胞との間で各材料に対する挙動が異なっていた.組織培養法を応用した材料の生物学的評価実験を行う場合, 従来からの株細胞だけでなく材料の使用対象組織の細胞を用いることが材料の生体反応解明に有効であることがわかった.
- 日本歯科理工学会の論文
- 1989-11-25
著者
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