チタン鋳造体の曲げ特性に関する研究
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概要
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チタン鋳造体の機械的性質の検討は引張試験を用いて行われてきた.しかしながらそれらの報告のなかにおいては, 弾性性質(見掛けの弾性率, 耐力)が明らかにされていない.今回の実験の目的はチタン鋳造体の弾性性質を詳細に検討することである.実験には曲げ試験を用いて弾性率や耐力の算出を行った.また, チタン鋳造体のみかけの弾性率や耐力に及ぼす影響についても硬さ試験や金属組織観察を行い, 合わせて検討した.その結果チタン鋳造体の曲げ弾性率はADA Type IV金合金の鋳放し, 硬化熱処理の条件に近似する値を示した.チタン鋳造体の比例限, 0.03%耐力, 0.2%耐力の結果はADA Type IV金合金の軟化熱処理を施した試験体に近似した.また, 各鋳造条件によって鋳造された試料の表層部の硬さの変化とそれぞれの曲げ弾性率の結果が一致し, 従ってチタンの鋳造体表層に生じた硬化層が弾性率に大きく影響することが明らかとなった.また, 今回の実験よりチタン鋳造体のみかけの弾性率の測定には曲げ試験が有効であることが示唆された.
- 1993-03-25