義歯床用軟性裏装材の物理的ならびに機械的性質と耐久性に関する研究
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概要
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10種類の義歯床用軟性裏装材について各材料の操作時間と硬化時間, 粘度, 弾性回復率, 圧縮弾性率, ゴム硬さ, 寸法変化率等を調べるとともに, サーマルサイクル試験による耐久性の検討を行った.また練和時に混入する気泡がこうした材料の物理的ならびに機械的性質にどのような影響を及ぼすかについて検討した.操作時間は2.5〜17.0分であった.一方, 硬化時間は3.8〜14.3分であった.シリコーン系材料の練和開始後90秒での粘度はアクリル系材料に比べて4〜7倍大きい値を示し, 1種類を除いて練和後比較的短時間で粘度は上昇し始めた.弾性回復率は, 遅いものでも練和開始後約9分で90%以上に達した.練和開始後24時間でのアクリル系, シリコーン系材料の圧縮弾性率は3.57〜9.01×10^6dyne/cm^2で, 口腔粘膜組織の弾性率(0.7〜4.4×10^7dyne/cm^2)とほぼ同じか, より低い値を示した.圧縮弾性率, ゴム硬さとも気泡を除去した試料は, 気泡が混入した試料よりも高い値を示し, 練和後30日までの圧縮弾性率の経時的変化は小さくなった.常温硬化型アクリル系材料では, 気泡が徐々に大きくなる現象がみられ, また最高で約1.6%の寸法変化率を示したが, 気泡を除去した場合, 寸法変化率は小さくなった.アクリル系, シリコーン系材料では, サーマルサイクル試験後は表面性状の粗れが著しく, 重量の増加やゲル強度の低下がみられた.しかし, 気泡を除去した場合, 表面粗れ, 重量変化, ゲル強度の低下とも小さくなった.このことから気泡の有無が材料の耐久性に大きな影響を及ぼしているものと思われる.
- 日本歯科理工学会の論文
- 1993-03-25
著者
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