チタン粉末を用いたプラズマ放電焼結法によるチタン材の試作
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概要
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チタンは優れた耐食性と生体親和性を有するため生体材料に利用されているが, 骨固定用プレートや歯科用インプラント等, 機械的強度を要求される用途には必ずしも十分ではない.本研究では, チタン粉末を用いて大気中で焼結可能なプラズマ放電焼結法(PAS)を利用し, 主として酸素を均一に固溶させて機械的強度を高めたチタン焼結体の試作を検討した.また, 焼結性を高めるために微量のパラジウム粉末の添加を試みた.チタン粉末の粒径(#350, 235, 100)と焼結エネルギーである焼結電流(2800Aから4000A)を変化させて約40gの粉末をグラファイトモールド中で大気雰囲気で焼結を行った.焼結は僅か数分で完了し, チタンの理論密度の99%以上の良好な焼結体が得られた.焼結体の引張り・曲げ強さの最大値はコントロールに用いたJIS H4600 2種チタン材の2倍近いものが, 最短150秒の通電で得られたが, 伸びは10%前後であり, コントロールよりも小さかった.チタンにパラジウム粉末を添加した場合, 液相点が低下し, 低エネルギーで効率的に焼結を行えることが判明した.ごく少量のパラジウム添加により, 焼結性が向上し焼結時間が短縮し, かつ伸びはTi粉のみの場合よりも大きな値を示した.パラジウムの添加量が多くなるにつれ合金相が多くなるので, 引張り・曲げ強さは増大したが, 伸びは低下した.PASにより高強度, 高密度で靱性のある高純度チタンブロックの作製が可能であったため, 放電加工やミリング等の二次加工により生体材料への応用が可能になると考えられる.
- 日本歯科理工学会の論文
- 1995-01-25
著者
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