フッ素系ポリマーを利用した光重合型軟質裏装材の試作とその性質
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概要
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フッ素系ポリマーであるフッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体と, モノマーとしてエチルメタクリレート, 2-エチルヘキシルアクリレートおよび架橋剤としてペンタエリスリトールテトラアクリレートを用いた.光重合型のアクリル系義歯床用軟質裏装材(2-6F)を試作した.5種類の市販軟質裏装材ともあわせて, 硬さ, 水に対する接触角, 吸水率, 吸油率, 引張強さ, メタクリルレジンとの接着強さ, 粘弾性等の測定を行い, 比較検討した.いくつかの性質については水中浸漬前後の比較も行った.2-6Fの特徴を以下に示す.耐久性の最も重要な因子である吸水率, 吸油率が5週間でそれぞれ0.36, -0.21wt%であり, 市販材料と比較してかなり低値であった.エチルメタクリレートモノマーの溶出率は, 13.5ppmできわめて低かった.硬さは試験材料中ちょうど中間の46.7, 接触角は一般的な義歯床用レジンの値(70°)より大きく, 81.0°であった.引張強さは16.58MPa, メタクリルレジンとの接着強さは3.40MPaであり, いずれの値も市販材料と比べかなり大きく, また水中浸漬でもその影響をほとんど受けなかった.2-6Fは貯蔵弾性率, tanδの値が高く, 変形しにくく, エネルギーを吸収しやすいという粘弾性特性を有していた.各材料はかなり異なる理工学的性質および粘弾性を有していることが明らかとなり, 術者が必要に応じて材料を選択することの重要性が示唆された.
- 日本歯科理工学会の論文
- 1995-11-25
著者
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