四国北東部の高マグネシア安山岩及びそれに伴なう玄岩-安山岩-サヌカイト中のカンラン石斑晶の NiO-Fo 関係
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概要
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四国北東部の中新世高マグネシア安山岩及びそれに伴なう玄武岩-安山岩-サヌカイト中のカンラン石斑晶の化学組成の記載をおこなった.カンラン石は正の累帯構造を示し, 一般に中心部でFo量88∿90%.NiO量0.15∿0.51 wt.%の組成を有する.NiO-Fo図上でカンラン石の4つの組成トレンドが識別された.I型カンラン石は中心部で高いNiO量(0.40∿0.51 wt.%)を持ち, 周辺に向けFo量の減少と共にNiO量が急速に減少する.このようなカンラン石の組成変化は, 初生マグマからの局所平衡を保ったカンラン石の分別結晶作用で矛盾なく説明される.II型カンラン石は中心部で低いNiO量(0.15∿0.30 wt.%)を持ち, 周辺に向ってFoが減少してもNiO量はそれほど減少しない傾向を有する.一方, 組成プロファイルからII型カンラン石は2種に分けられる.サヌカイト中のII型カンラン石は周辺部でのみFo量について急な組成勾配を持っているが, これはMgに富む比較的均質なカンラン石と, 分化の進んだサヌカイトマグマ間の反応・元素の拡散によって形成されたと考えられる.玄武岩及び高マグネシア安山岩中のII型カンラン石は周辺に向けFo量, NiO量共にゆるやかに減少する組成プロファイルを有し, これは液とカンラン石間の非平衡なNi分配によって生じた可能性が強い.III型とIV型のカンラン石は一つの高マグネシア安山岩中に共存して産する.III型カンラン石は, 中心と周辺の中間部でNiO量の極大を示し, IV型カンラン石は中心で高いNiO量(0.40 wt.%)と低いFo量(81∿82%)を有する.IV型カンラン石は高Ni, 高Feマグマから晶出したと考えられ, 一方, IV型カンラン石は, そのような高Ni, 高Feマグマと通常の初生マグマの混合の際晶出したものと考えられる.
- 特定非営利活動法人日本火山学会の論文
- 1983-07-01
著者
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坂野 昇平
Department Of Earth Sciences Faculty Of Science Kanazawa University
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坂野 昇平
Department Of Geology And Mineralogy Faculty Of Science Kyoto University
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佐藤 博明
Department of Earth Sciences, Faculty of Science, Kanazawa University
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