歯科用接着性レジンの破壊靱性に関する研究 : 第3報 接着耐久性について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究では, 歯科用接着性レジンの接着耐久性を評価することを目的として, 市販の接着性レジン, スーパーボンドC&B(SB)とパナビア21(PV)を対象に, モードI破壊靱性に及ぼす4/60℃熱サイクル試験の影響および疲労試験におけるき裂進展特性について検討した.静的および疲労破壊靱性試験は, 第1報で報告した双片持はり(DCB)試験によって行った.疲労DCB試験は1Hzの試験速度で行った.その結果, 熱サイクル試験においては, SBでは, ある熱サイクル数を過ぎると, 破壊靱性値(G_<IC>)は急激に低下する傾向を示すとともに, き裂進展面は凝集破壊から界面破壊へと変化し, 熱サイクル試験の影響が認められた.一方, PVでは, 熱サイクル数に関係なく, すべての試験片は凝集破壊となり, そのG_<IC>値はわずかに低下したに過ぎなかった.次に, 疲労試験においては, SBでは, 破壊靱性値(G_<max>)と対数目盛で示した繰返し数Nとの関係を直線近似することができた.PVでは, G_<max>のばらつきが大きく, はっきりとした傾向を示すことができなかった.しかし, SBの場合には, このようなG_<max>を接着材の損傷許容値として考慮すると, 疲労寿命の制御に準拠した歯科補綴物の設計が期待できることが分かった.
- 日本歯科理工学会の論文
- 1998-01-25
著者
関連論文
- 歯科用接着性レジンの破壊靭性による接着耐久性の評価
- 歯科用接着性レジンの破壊靭性とその試験方法
- 歯科用接着性レジンの破壊靱性に関する研究 : 第2報 接着層の厚さによる影響
- 歯科用接着性レジンの破壊靱性に関する研究 : 第1報 試験方法の策定
- 歯科用接着性レジンの破壊靱性に関する研究 : 第3報 接着耐久性について