ガス注入により重合収縮を補償する義歯床製作法
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概要
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熱可塑性樹脂の射出成形に利用されているガスインジェクション法(GI)を義歯床製作に応用し, 寸法精度に優れた義歯を製作することを目的に本研究は行われた.吸着酸素と水が除去されたメタクリル酸メチル(MMA)とメタクリル酸エチルの共重合体ビーズと, 蒸留精製したMMAを用いて, アルゴンガス雰囲気中でスラリーを作製して重合した.義歯床製作でGIを行うためには, 石膏模型を予備加熱してスラリーの重合を石膏面から先に開始させ, 外側にガスバリアを形成させる必要がある.そしてスラリーの重合の進行中に, 流動性のあるスラリー中央部にガスを注入することにより, スラリー全体の重合収縮を補償することができた.またGIを行った重合物の曲げ強さは, GIを行わなかったものと比較して有意な低下は認められなかった.GIは義歯床製作に応用可能な技術であり, GI法により寸法精度の良好な義歯が製作できた.
- 1998-11-25