軟鉄製ワイヤーを発熱体とした高周波誘導加熱法を応用した歯科迅速鋳造の研究
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概要
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歯科鋳造の迅速化の一環として, 鋳造の加熱時間を短縮する目的で, コイル状の軟鉄製ワイヤーを発熱体として高周波誘導加熱法を鋳型の加熱に応用することを試みた.急速加熱型石膏系埋没材の鋳型を1.1kWの高周波出力で8分間, 出力1.8kWで9分間, 高周波誘導加熱を行うことで鋳型中心部の温度は700℃に達した.出力1.1kWで8分間, 出力1.8kWで8分間加熱した鋳型では鋳造体に鋳バリはないものの埋没材の焼き付けが認められた.出力1.1kWで8分間, 出力1.8kWで6分間の14分間加熱の条件では鋳バリ, 焼き付けのない鋳造体が得られた。これら高周波誘導加熱法で得られた鋳造体の寸法は, ワックスパターンと比較するとリング直径方向は小さく, リング長軸方向は大きかったが, 鋳型内部に配置した軟鉄製ワイヤーが原因と考えられた.以上より, 寸法精度については改善する必要があるが, 高周波誘導加熱法を用いることで, 鋳型加熱時間が14分間で鋳造可能なことが明らかとなった.
- 2000-01-25